「舞台という魔術的な次元」のなかに移された「悪」や「罪」は、観客に対して治療的な力をもつ・・・これを、芸術の力だと、ミヒャエル・エンデは言います。
本当の芸術は、耐えられないほどの悪や罪を描きます。悲劇の名作なんか、本当に耐え難いものです。でも、それが舞台という魔術的な次元に移しかえられることによって、ホメオパシー的方法で観客の中に逆方向の力を呼び覚まします。観客をかえって健康にしてくれる力です。それが芸術の秘密です。
— ミヒャエル・エンデ (@Michael_Ende_jp) 2016, 1月 21
「舞台」は、「魔術的な次元」・・・。
「悪」とか「罪」とかの要素は、現実世界では、たぶんとてもきつい毒だけれど、舞台でそれに触れるのなら、観客は、治療効果を得て心が健全になっていくのだと・・・私も、そう思います。
教育にも関わる話だと思うのですが、アクティブ・ラーニングの場でも、そういう「芸術がもつ要素」のようなものが働くと思います。
エンデは、映画にもなった『モモ』や『はてしない物語』(ネバーエンディング・ストーリー)の作者です。
画家の父をもち、演劇の道から作家になり、数多くのファンタジー作品を残しました。「文学」や「ファンタジー」の意味から考えて書いていた作家です。
私は、中学生のときにミヒャエル・エンデの作品に出会い、その後、彼の思想にも興味をもって学生、社会人になりました。エンデは、奥様が日本人で、親日家でもあったので、日本についての言葉も数多く残し、日本にも彼ゆかりのものがあります。
経済や医療など、幅広く彼の思想がわかる書籍も出ています。